拗音の1拍1打鍵
最終的に没になっていますが、拗音に1打を割り当てることについて書かれています。
拗音・外来音は2文字で1拍です。
そのため、1打化すれば1拍1打鍵を実現できるというメリットがあります。
しかし、1打化することで覚えるキーが増え、打ちやすさも確保しづらくなるので、飛鳥の“倍速打鍵の適用”は理に適っているように思います。
それはいいのですが、一部気になった部分について書きます。
「次に打つ言葉の二番目は拗音が含まれるから、そこは小指シフトにしないと」という事前思考の
脳内コストを考えると、やはりこの案は没でしょう。
通常の“拗音分離型”カナ系ではで「社会」は「し/ゃ/か/い」と捉えることになると思いますが、
拗音を1打化した場合には「しゃ/か/い」と捉えることができます。
そのため、「二番目に拗音が含まれる」という思考にはならず、むしろ“思考音声”に近い打鍵ができるのではないかと思います。
また、「単独の小文字が13個減らせる」とありますが、13個の単独の小文字――つまり[ぁぃぅぇぉゃゅょ]――を削ってしまうと文中にもある「きぃてかぁてはぁて」のような文字のときに困ります。
使う人は一部だけだとは思いますが、「まぁね」とか「やったぁ!」なんて書きたい時や、外来音表記にこだわって「プェ」「ホィ」なんて書くときにも困ることになるでしょう。
ローマ字と英語の混乱
もうひとつ、「ローマ字打ちは外来語の英語と混乱するからまずい」ということについて。
この意見はよく見かけるように思います。
混乱が起きる人は多そうですので、ローマ字打ちにそういった問題があるという点には異論はないのですが、これは割と個人差があるのではないかと予想しています。
というのも、私は英語を習いはじめる中学の頃にQwertyローマ字入力を始めましたが、混乱は全く起きなかったんです。
なぜ混乱しなかったのかは自分でもよくわかりませんが、「Shift」と「シフト」をはっきりと“別物”として認識してきたということかもしれません(?)
やっぱりカナ単位に分割して入力するというのが正解でしょうね。その点、ローマ字系は無理が多いです。
「アッー!」さえ普通に入力できないというのは困りますw
ローマ字系は結局のところ例外的なものだけ小文字を別入力ということになってしまいますね。
チャットなんかでは「ぁゅ」なんて名前(ハンドル)の人なんかもたまに見かけますしねw
「みつを」と書いて、
「ミツオ」と発音するんだなあ
ローマ字入力だと「mituwo」、
ローマ字表記だと「mitsuo」なんだなあ
みとぅお
かといって、例外のないローマ字規則にそった入力をするということになれば、かな漢字変換ならぬローマ字漢字変換(<koko>がそのまま出力され、変換すると「ここ」「此処」「高校」「孤高」「考古」などの候補が出るというような)が必要などということになってしまいそうです。
(これでは変換しづらくなって、本末転倒ですw)
タ行が「ta chi tsu te to」になるなどの部分で、一般的なローマ字規則自体に疑問を持つ向きもあるようですが。
ローマ字入力は実はローマ字とは関係がなく、むしろ「50音連想によるシフトカナ入力」であることは疑いないでしょう。
それからその「一般的なローマ字規則」ってのは、かなり眉唾でして。
「高校」を`koko'と表記するのは道路標識などに採用された方法なので広く使われていますが、正書法ではないと考えられているようです。正しくは、字上符がつけられないときは`kookoo'とするか、`ko^ko^'と表現するのが正当らしいです(koukouではいけないというのが面白いですね)。ですので、「ローマ字漢字変換」でも「高校・孤高・考古」問題はおこりませんが、「道理」と「通り」の区別はなくなりますし、カナ部分の「っ〜〜〜!」とか「ぎゃっ」、「ドゴォオォン…」などの表記は、とても難しくなるでしょう。
西洋には「伸ばし音」の概念は、有名どころではラテン語くらいにしかないので、アルファベット表現が難しく、混乱しています。古くは「ギョウ」を`gveo'と綴った資料がありますが、これは日本人には理解できない方法でしょう。
ta chi tsu te to にも同様の問題があります。これは日本人のみならず、外国人にも理解しがたい方法です。日本語を学習する外国人にとっては、「待つ」の活用語尾がややこしくなるというんですね。MAT-anai, MACH-imasu, MATS-u…と、語幹が不規則変化しているように見えるので、「カタカナよりも難しい」と、大変おそれられています。
他にも、疑問が多いローマ字の慣例表記には、
Yen(円), Tokio Marine(東京海上), Shimadzu(島津), Mazda(マツダ), Kiccho(吉兆。cを2つ重ねる規則はあるが、一般には法令編集事務上の誤りであって、tcとすべきと考えられている)など。また厳密には「ローマ字」ではないですが、外国語向けの表記として、Yezo(蝦夷), Keiskea(圭介), Poke'Mon(ポケモン。e'はeの上にアクサングラーヴを載せる。「ポクモン」と発音されないようにするため)
などなど、不思議な綴りはいっぱいあります。防衛庁のローマ字資料で missileとmisairuが混合して使われていたという話もあります。
結局ローマ字なんていうのは、「おしゃれな西洋風の変体仮名」くらいの扱いしか受けていないので、体系立った表記の定着を期待してはいけないのかもしれません。
そもそも発音と表記には、ローマ字であれカナであれ必ずズレがあるので、発音のトウリに書くというのは、ある水準までしかできないことです。
発音ドウリに書けないものは、発音通りに打つこともできません。この場合は、実際の「出力」に一致するように打つ、つまり、かな文字の表記にならって1文字ずつ打てるようにするのが直感的で、例外が起きない最良の方法でしょう。
しかも「倍速打鍵」は、発音と表記の間でちょうどよいバランスをとれている良い方法なので、気に入っています。
ああ、朝からこんなに書いてしまいました。。
トラックバックにするか縮めるかすればよいのですが、もう出掛けなければなりません。長文のままで失礼ですが、投稿させていただきます。
たちつてと を ta ti tu te to で書くなどの流儀が採用されていれば今よりは混乱がなかったようには思いますが..。
発音に忠実になるなら、国際音声記号(IPA)もありますが、これは口の動きによる音の出方のようなものです。
なので、直感的とは程遠い感じになってしまいます。
発音表記は体系化すると、直感的に頭で思っていることと離れてしまうということだと思いますが、これでは使い物になりませんね..。
私も「倍速打鍵」は完璧とは言えなくても、バランスを考えると最適解であるように思います。